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「砂の女」阿部公房
砂の女 (新潮文庫)砂の女 (新潮文庫)
(1981/02)
安部 公房

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タイトルに砂の「女」とある。「男」ではないんだよな。砂と女と女の所属する社会のざらざらとどこまでも体にまとわりつき、侵入し、逃れられないものこそが主題であり、主人公である男は実は主人公という役割を課せられた、読者と物語世界の橋渡し、レンズの役をしているにすぎない。主人公であっても物語中での主題は彼の心理ではないし、感情移入するための装置としても彼は存在していない。
比喩として、砂に囲まれた村と家の舞台や男と女と村人の関係をとらえ、それによってこの小説は閉塞感に満ちた現代を描いている、と言うことができるだろう。しかし、この小説の素晴らしいところは砂、女、男、村人、村が比喩の領域を遙かに超えて息苦しい感触を得られるほどに実体として描かれているところにあると思う。リアリズム小説としてだけでも自立できるのだ。
片面ずつも楽しめるし、両方を重ね合わせながらも楽しめる。両極がすごい高みにあって、なおかつ共存しているこのバランスはかなり貴重なものだと思う。いつの時代であっても、読者は新鮮な感動をもってこの小説に出会うことができるだろう。
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テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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